2016年3月26日土曜日

当会の提出した意見書について

2016年3月22日

境浄水場の地区計画及び用途地域変更(都市計画原案)に関する意見書


下記3点の理由から「境浄水場の地区計画及び用途地域変更(都市計画原案)」に反対します。


(1)地域市民が適切に理解できる方法による説明が尽くされていないこと


 地域市民から寄せられた疑問や不安の声に対して、必要十分な説明資料等が用意されず、適切な説明が尽くされていないことから、拙速ともいえる本都市計画原案に反対します。
  2016年3月12日の説明会においては、特にご高齢の参加者等から、市の説明内容を理解できない旨の不満の表明が相次いでいます(※1)。「数値と専門用語の羅列」と「大雑把な地図」で示された本原案は、浄水場周辺に実際に生活する多くの市民にとって、再構築事業のイメージを掴むことすら困難な状況にあります(※2)。
  「数値と専門用語の羅列」ではなく、様々な地点から描写した「完成予想図(モンタージュ)」を含めた分かり易いリーフレット等を地域市民に事前配布するとともに、意見募集についてもご高齢の方でも容易に意見を申述できるよう、封筒と用紙をセットするなど、高齢社会に対応した市の適切な説明を要請します。現状のまま都市計画手続きを強行した場合、当該市民等に対する「ネグレクト」との非難を受けかねない状況と指摘せざるを得ません。


(※1)
2016年3月12日開催の住民説明会において、ご高齢の参加者に限らず、「なぜ再構築事業が必要であるのか理解できていない」(男性)、「これまでの説明会で配布した資料や質疑応答についてホームページ等で見ることが出来ない」(女性)等の意見・不満の表明が複数寄せられました。さらに開催時間が1時間と極端に短い上に、事業者である東京都水道局の同席がなかったことから、極めて不十分な質疑応答となりました。
2015年11月には、市議会議員(自由民主・市民クラブ、公明党)の先生方をはじめ、要望事項として「市民からの質問事項については十分な説明を行うこと」等、複数のご指摘をいただいておりますが、「数値と専門用語の羅列」等では十分な説明が尽くされているとは到底考えられません。

(※2)
例えば、大型マンションの建設計画について住民説明を行う際、事業者が「完成予想図」等を一切配布せずに、「数値と専門用語の羅列」でいくら説明を行ったとしても、十分な説明が尽くされているとは到底言えない状況にあることと同様の状況にあります。


(2)「壁面の位置」等に関する東京都水道局の説明と本都市計画原案が大きく乖離しており、将来的に係争の原因になること


  「壁面の位置」等に関する東京都水道局の説明と、本都市計画原案による規制値には10m 以上の乖離があり、地域市民に対して混乱や誤解をもたらしています。
  東京都水道局が説明してきた建設計画(案)に対して、今回提示された都市計画原案は極端に緩和された条件を規定しており、本原案を容認した場合、「壁面の位置」や「高さ」等に関する法的拘束力が実質的に大幅緩和される状況になります。そのため、将来的に浄水場施設が増改築される場合などにおいて、地域市民と東京都水道局の軋轢(「言った言わない」論争)や法的係争の原因にもなりかねず、地域市民にとっては次世代に対する負の遺産となります。
  法的拘束力の原点となる都市計画原案については、「壁面の位置」、「高さ」等について東京都水道局が行ってきた説明内容に適った内容に改めるとともに、より厳格に規定されるべきものと考えます。地域市民にとって、将来的な不利益を齎しかねない数値上のバッファーは一切必要ありません。


(3)浄水場東側(新武蔵境通り側)に面した住民への配慮が欠落していること


  本都市計画原案で示された「壁面の位置」について、浄水場東側(新武蔵境通り側)とその他の側面において条件が異なり、同地域の住民への配慮が著しく欠落しています。
  浄水場東側の「新武蔵境通り」は、2年前まで鳥や昆虫が小さな水路に集い、子供たちが虫取りに訪れた武蔵野の森に囲まれた狭小路のあった場所です。2年前に東京都建設局によって武蔵野の自然環境は破壊され、4車線道路が築造されました。現在は大型車両の排気ガスや騒音・振動により、閑静であった生活環境は著しく悪化しています。
  本都市計画原案では、浄水場東側に対して基準を緩和する内容になっており、当該地域の市民にとっては、景観(奥多摩の山脈や富士山等の眺望)ばかりか、貴重な冬の西日を奪われる可能性があります。「東京都建設局」が自然破壊により4車線道路を築造したからといって、今度は「東京都水道局」が浄水場東側を「さらに苛めても構わない」という市と都の発想は断じて許せません。第一種低層住居専用地域等に面する浄水場東側についても、圧迫感のある景観は到底容認できるものではなく、むしろ東京都水道局に対して、高度浄水施設で生み出されるべき敷地を供出させ(少なくとも新武蔵境通りの幅員以上)、2年前に破壊された自然環境の回復を図り、市民の憩いの場として開放すべきと考えます。

以上